序文:仮面の下に潜む深淵
SCP財団が管理・収容する数多のアノマリーの中で、SCP-049(通称「ペスト医師」)ほど、人類の医学、倫理、そして「生と死」の境界線に対する根源的な問いを突きつける存在は稀有である。彼を一見した者は、中世ヨーロッパの暗黒時代から抜け出してきた亡霊のような印象を抱く。黒いローブ、鳥のくちばしを模したマスク、そして洗練された振る舞い。しかし、その「治療者」としての仮面の下には、現代科学では解明不能な生理学的異常性と、我々の理解を絶する異界の論理が渦巻いている。
彼は慈悲深い。致命的に、慈悲深いのだ。彼がもたらすのは生物学的な死であるが、彼自身の認識において、それは「救済」であり、崇高な「治療」の第一段階に過ぎない。この認識の絶対的な乖離こそが、SCP-049をEuclidクラスのオブジェクト足らしめている最大の要因である。彼は悪意を持って殺すのではない。善意を持って「治す」ために殺すのだ。
本レポートは、SCP財団シニア研究員としての視点に基づき、SCP-049に関する既知の事実、詳細な実験記録、悲劇的なインシデントログ、そして財団内部で囁かれる未確認の仮説を包括的に統合したものである。彼が執拗に追い求める「悪疫(The Pestilence)」の正体とは何か? 彼の持つ古びた鞄の底には何が眠っているのか? そして、我々人類は彼にとって「患者」なのか、それとも駆除すべき「病原菌」なのか? 本稿では、この静かなる狂気の実像を、可能な限り冷徹かつ詳細に解剖し、その全貌を明らかにする。
第1章:死を呼ぶ治療者 – SCP-049の基礎プロファイル

1.1 中世の幻影と生物学的欺瞞
SCP-049を初めて目撃した者は、例外なくその外見に中世のペスト医師(Plague Doctor)の典型的な姿を見出す。身長約1.9メートル、体重95.3キログラム。全身を覆う厚手の黒いローブ、手には革製の手袋、そして顔面には特徴的な嘴状のマスク 。これらは15世紀から16世紀にかけて、腺ペスト(黒死病)が欧州を席巻した際、瘴気から身を守るために医師たちが着用した防護服そのものである。
しかし、財団による拘束後の身体検査および生体組織診断は、この認識が致命的な誤りであることを暴き出した。我々が「衣服」や「装備」だと認識していたものは、驚くべきことに彼自身の肉体の一部であったのだ 。
皮膚としての衣装:異形の生理学
X線検査、遺伝子解析、および微細な組織サンプリングの結果、以下の事実が判明している。
- ローブと手袋: 一見すると粗い革や布地のような質感を持つが、これらは実際には筋肉組織や皮膚組織から直接的に成長・延長した器官である。微視的レベルでは、これらは極めて高密度に重層化した角質層と、未知のタンパク質結合によって構成されており、通常の衣服とは比較にならない強度と柔軟性を有している。これは脱ぐことができない「皮膚」であり、SCP-049の循環器系や神経系と完全に接続されている 。
- マスク: セラミックのような光沢と硬度を持つこのマスクは、頭蓋骨から直接隆起し成長したキチン質の外骨格であることが示唆されている。X線画像では、マスクの下に人間と類似した骨格構造が確認されているが、マスク自体が顔面の骨と融合しているため、これを外すことは頭部を破壊することを意味する 。
このグロテスクな事実は、SCP-049が「ペスト医師のコスプレをした人間」ではなく、「ペスト医師という”概念”を模倣して進化した、あるいは何者かによって設計された異形の生物」であることを示唆している。彼が呼吸や食事を必要とするかについては議論があるが、食事(特に乾パン、塩漬け豚肉、チーズなどの中世的なメニュー)を摂ることを「楽しむ」様子は観察されている 。
1.2 基本ステータスと異常性:Euclid分類の根拠
SCP-049はEuclidクラスに分類される。これは彼の知性が高く、意思疎通が可能である一方で、その行動原理(特に「悪疫」に対する反応)が予測不可能であり、かつ接触時の致死性が極めて高いためである。彼は通常、財団職員に対して協力的で礼儀正しいが、ひとたび「悪疫」を感知すれば、即座に制御不能な敵対的実体へと変貌する 。
【表1:SCP-049 基本プロファイル概要】
| 項目 | 詳細データ | 備考 |
| オブジェクトクラス | Euclid | 収容自体は標準的な人型収容セルで可能だが、心理的トリガーによる危険性が高い。 |
| 身長 / 体重 | 1.9m / 95.3kg | 見た目よりも筋肉密度が高く、成人男性を片手で持ち上げる腕力を持つ。 |
| 言語能力 | 多言語話者 | 英語、中世フランス語を好むが、対話者の言語に流暢に適応可能 。 |
| 接触致死性 | 即死 | 素肌による直接接触により、対象の全生物学的機能を瞬時に停止させる。原理不明。 |
| 保有アイテム | 医師の鞄(ドクターズバッグ)、先の尖った棒 | 棒は本来、患者に直接触れずに診察するための中世の道具だが、武器としても使用される 。 |
| 精神状態 | 知的、学者肌、強迫観念的 | 「治療」こそが至上の使命であり、それ以外の倫理観は欠如あるいは歪曲している。 |
| 鎮静化手段 | ラベンダー(L. multifida) | 興奮状態にある際、ラベンダーの香りや抽出液が鎮静効果をもたらすことが確認されている 。 |
1.3 接触による死のメカニズム:慈悲なき救済
SCP-049の異常性において最も直接的な脅威となるのが、その「手」である。彼が素手で他者の皮膚に直接触れると、対象の生命活動は即座に停止する。この現象は物理的な外傷や既知の毒物によるものではない。心停止、脳死、細胞レベルでの代謝活動の凍結がほぼ同時に発生し、現代医学の蘇生措置は一切通用しない 。
特筆すべきは、SCP-049にとってこの「死」は殺人ではなく、「麻酔」あるいは「術前処置」として認識されている点である。彼は犠牲者の死を嘆くどころか、「さあ、これで準備が整った」「治療を始めよう」と歓喜する。彼にとって、生きたままの人間は「病に苦しむ哀れな存在」であり、死体こそが「治療を受け入れる準備ができた清浄な状態」なのだ。この倫理観の絶対的な断絶こそが、財団職員に最も深い恐怖を与える要素である。
第2章:大いなる悪疫(The Pestilence)と救済

2.1 現代医学が見落とす「病」:悪疫とは何か?
SCP-049のあらゆる行動原理、その思考のすべてを支配しているのは、「悪疫(The Pestilence)」と呼ばれる謎の疾患への対抗心である。彼は財団の収容下においても、常にこの病の気配を探り、根絶しようと試みている。彼は頻繁に「この場所は悪疫の気配が少ない」「あなたは感染している」「世界はこの病に満ちている」といった発言を行う 。
しかし、財団が誇る最高峰の医療技術、病理学的検査、さらには異常検知スキャナーをもってしても、SCP-049が指摘する「悪疫」の痕跡は一切検出されていない。彼が「感染者」と断定する人物は、往々にして健康体であり、精神的にも安定しているように見える。逆に、癌や感染症に侵されたDクラス職員を見ても、彼が「悪疫」の反応を示さないこともある。この不一致は、研究者たちを長年悩ませ続けている。
「悪疫」に関する主要な仮説と考察:
- 死そのもの(Mortality): 最も有力な説の一つ。人間が生物として逃れられない「死の運命」そのものを病と捉えているという解釈である。彼が作り出す蘇生体(SCP-049-2)は老化せず、自然死もしない(破壊されるまで稼働する)ため、ある意味で「死を克服した」状態と言える。しかし、SCP-049は動物に対しても治療を行うことがあり、すべての生物が死ぬ運命にある中で特定の個体のみを「感染者」とする点に矛盾が生じる 。
- 自由意志・感情・人間性: 人間特有の予測不可能性、感情の揺らぎ、あるいは「魂」や「自我」を不完全さの象徴として嫌悪している説。治療後のSCP-049-2は自我を喪失し、ただ主の命令に従うか無目的に徘徊する存在となる。これは、SCP-049が理想とする「苦悩なき状態」なのかもしれない。
- 未知のミーム/概念的汚染(SCP-2718等の関与): 一般的な認識能力では知覚できない、形而上学的な寄生体や概念的ウイルスが存在するという説。例えば、死後の意識が永劫の苦痛を味わうという認識災害(SCP-2718)を彼が知覚しており、その運命から人々を救うために、脳機能を破壊して「無」を与えているという恐るべき解釈もある 。あるいは、人類の無意識下に潜む「何か(The Entity)」を敵視している可能性も否定できない。
- 単なる妄想(Delusion): 彼の異常性の一部として組み込まれた、実体のない強迫観念。彼自身も病の正体を言語化できていない節があり、「とにかく治さなければならない」という衝動だけがプログラムされている可能性。
2.2 逆転した倫理:「治療」という名の冒涜
SCP-049は対象を「接触」により殺害した後、直ちにその鞄から手術器具を取り出し、粗雑かつ迅速な外科手術を開始する。彼はこれを「治療(The Cure)」と呼ぶ。この手術は、通常の医学的観点からは死体損壊としか言いようがない。彼は遺体を切開し、未知の液体を注入し、臓器を並べ替え、時には異種生物のパーツを縫合することさえある 。
以下の表は、SCP-049が行う「手術」のプロセスを、財団の客観的視点とSCP-049の主観的視点で対比したものである。
【表2:SCP-049による「手術」プロセス対比表】
| 段階 | 財団の視点(客観的事実) | SCP-049の視点(主観的認識) | 備考 |
| 診断 | 根拠不明な選定。健康な人間を突然「感染者」と断定する。 | 鋭敏な嗅覚と洞察による確定診断。「悪疫の臭い」を感じ取る。 | 診断基準は完全にブラックボックス。 |
| 接触(Touch) | 対象の即死。殺人行為。 | 麻酔投与。患部の沈静化。「準備は整った」。 | 抵抗を封じ、苦痛なく処置するための慈悲的措置。 |
| 切開・注入 | 死体の損壊。未知の化学物質や体液による汚染。 | 患部の切除。体液(ユーモア)のバランス調整。「悪疫」の抽出 。 | 四体液説(中世医学)に基づいた発言が見られる。 |
| 縫合・改造 | 粗雑でグロテスクなつぎはぎ。意図不明な臓器配置。 | 芸術的かつ機能的な再構築。生命の強化。 | 時に金属や異物を体内に埋め込むこともある。 |
| 術後(蘇生) | SCP-049-2(ゾンビ)の生成。自我と人間性の完全喪失。 | 「完治」。患者は救われた。「私の治療は最も効果的だ」。 | 蘇生した動く死体を見て満足気に記録を取る。 |
| 結果 | 失敗。または新たな脅威(生物兵器)の誕生。 | 成功(時に「完璧ではない」と不満も漏らすが、生前よりはマシだと考える)。 | 稀に「失敗」を認め、死体を焼却処分に回すこともある。 |
彼が「治療は成功した」と高らかに宣言する時、手術台の上に横たわっているのは、かつて人間だった「何か」である。彼にとって、我々が大切にしている自我や記憶、人間性といったものは、悪疫の症状の一部に過ぎないのか、あるいは治療という大義の前では切り捨てても構わない些末な要素なのだろうか。
第3章:手術室の悪夢 – SCP-049-2(蘇生者)の生態

3.1 蘇りし「完治者」たち
SCP-049の手術を受けた死体は、数分から数時間のインターバルを経て再活動を開始する。これらは財団によってSCP-049-2と指定される 。外見上は施術前の人間と変わらない場合もあれば、過剰な改造により異形化している場合もある。彼らは「治療」の結果として、通常の生物とは全く異なる生理機能を持つに至る。
- 身体機能: 心拍や呼吸といった生命活動の兆候は、通常の生理学とは異なる原理で再開される。血液の代わりに未知の黒い粘性体液や、異常な化学組成を持つ液体が循環していることが解剖により確認されている。これらの液体は、SCP-049が鞄から取り出す「体液のエッセンス(essences of the humors)」と関連していると推測される 。
- 精神機能: 高次脳機能、記憶、言語能力は完全に喪失している。脳波測定では、人間らしい思考パターンは一切観測されず、ただ原始的な運動指令のみが発せられている。彼らは自我を持たず、痛みも恐怖も感じない。
- 忠誠心: SCP-049に対して絶対的な服従を示すわけではないが、SCP-049が指示を出せばそれに従うような行動を見せることもある。SCP-049は彼らを「完治した患者」として慈しむような態度をとる。
3.2 攻撃性と生理学的脅威:暴走する肉体
普段は緩慢な動きで無目的に徘徊するSCP-049-2だが、外部から挑発されたり、SCP-049によってけしかけられたりすると、その挙動は一変する。体内アドレナリンとエンドルフィンのレベルが通常の300%近くまで急激に上昇し、リミッターの外れた肉体能力で人間に襲いかかる 。
財団が行った詳細な解剖記録(SCP-049-2解剖報告書 049-D-Log)によれば、彼らの体内からは、現代科学では特定できない強力な防腐剤、未知の酵素、そして「肉体を無理やり稼働させ続けるための」異様な縫合痕が発見されている。 ある個体からは、関節の可動域を広げるために腱が人工的に切断・再配置されていたり、肋骨が強化されていたりと、SCP-049が明確な「設計思想」を持って肉体を改造した形跡が見られる。彼らの攻撃は単なる暴力ではなく、感染力を持つ体液を撒き散らすリスクや、圧倒的な質量による破壊を伴う。ゲーム『SCP: Secret Laboratory』などのシミュレーションにおいても、SCP-049-2は数で圧倒する脅威として描かれている 。
第4章:ハム博士の悲劇 – インタビューと信頼の崩壊

4.1 学者同士の奇妙な友情
レイモンド・ハム博士(Dr. Raymond Hamm)は、SCP-049の研究主任として彼と数多くの対話を重ねた人物である。当初、この二人の関係は「収容者と研究者」という冷たい枠組みを超え、ある種の「学者同士の交流」に近い様相を呈していた 。
SCP-049はハム博士を知的で理知的な人物として評価し、財団の清潔な設備や科学的アプローチに一定の敬意を払っていた。 「ここは素晴らしい実験室だ。悪疫の気配も少ない」と彼は語り、ハム博士に対し医学的な議論を持ちかけることさえあった。ハム博士もまた、049の異常な知識量と技術に学術的な興味を抱き、彼の「治療」のメカニズムを解明しようと試みていた。二人の間には、緊張感を孕みながらも、奇妙な信頼関係が築かれつつあったのである。SCP-049はハム博士を「同業者」として認めていたのだ。
4.2 破綻の瞬間:診断という名の死刑宣告
しかし、その関係は唐突かつ凄惨な終わりを迎える。 2017年4月16日、定期インタビュー(Log 049-Log-Update参照)の最中、SCP-049は突如として沈黙し、ハム博士をじっと見つめた。そして、悲しげに、しかし断固とした口調で告げたのだ。
SCP-049: 「あぁ、なんということだ、博士。あなたも…病気だったのですね」
その言葉にハム博士が困惑し反応する間もなく、SCP-049は拘束具を引きちぎらんばかりの勢いで接近し、彼に触れた。即死したハム博士に対し、049は一切の躊躇なく、鞄から器具を取り出し手術を開始した。警報が鳴り響き、武装した警備員が突入して彼を取り押さえるまでの間、彼は血まみれになりながら「友人を救う」ために全力を尽くしていた 。
4.3 “My cure is most effective”:悲しき独善
事件後の審問(Dr. Itkinによるインタビュー)において、SCP-049はハム博士殺害(彼にとっては治療)について一切の悪びれる様子を見せなかった。むしろ、「早期発見できたことは幸運だった」「彼の死は残念だが、治療は成功した」と主張した。
Dr. Itkin: 「あなたは同僚を殺したのだぞ!」 SCP-049: 「私の治療は最も効果的だ(My cure is most effective)。」
この言葉は、SCP-049という存在の悲劇的な矛盾を象徴している。彼は心から相手を救いたいと願っている。悪意など微塵もない。しかし、その「救い」の定義が人間とは決定的に異なっているため、彼の善意は常に虐殺という形でしか現れない。この事件は、SCP-049との「対話」や「信頼」がいかに脆い氷の上に成り立っているかを財団に痛感させる結果となった。彼は話が通じる狂人ではない。話が通じているように見えるだけで、見ている世界が根本から異なる異邦人なのだ。
第5章:謎めいた鞄と深淵なる考察

5.1 異次元のドクターズバッグ
SCP-049が常に腰に提げている古びた黒い革製の鞄(ドクターズバッグ)。これもまた、彼の身体と同様に異常な特性を持っている。外部からの計測では一般的な往診鞄のサイズに過ぎないが、その収納能力は物理法則を無視している 。
- 無限の収納(Dimensional Anomaly): 鞄からは、明らかに鞄のサイズよりも大きな医療器具、大量の薬品瓶、死体を保存するための防腐剤、さらには解剖用の大掛かりな装置までが取り出される様子が確認されている。
- 未知のツール: 出てくる器具の一部は、地球上のどの時代の医療史にも存在しない形状をしている。骨を液状化させる注射器、魂を摘出するかのような奇妙な形の鉗子、見たこともない材質のノコギリなど、その用途すら不明なものが多い。
- 生成能力: 一説には、SCP-049はこの鞄から道具を取り出しているのではなく、鞄の中で「必要な道具をその場で生成・召喚」しているのではないかとも推測されている 。この鞄は彼の身体の一部ではなく独立したオブジェクトのようだが、彼から引き離すことは極めて困難であり、彼自身も鞄への執着を見せる。
5.2 起源の謎と他オブジェクトとの接触
SCP-049の正体については、財団内でも様々な憶測が飛び交っている。
- 歴史上の人物説: 実際に15世紀のフランスに存在した医師が、異常な力(あるいは呪い)を得て永遠の命と狂気を得たという説。彼の語る中世フランス語や当時の知識はこの説を裏付ける。
- アラガッダ(Alagadda)の使者説: 異次元都市「アラガッダ」との関連が強く示唆されている。特に**SCP-035(憑依マスク)**との関係は深く、過去の収容違反時に二人が親しげに対話していた記録が残っている 。SCP-035は彼を「外科医(The Surgeon)」と呼び、049もまたマスクの向こうにある「何か」を知っている様子を見せた。アラガッダは退廃と芸術、そして狂気が支配する次元であり、049の倒錯した美学や倫理観はそこに由来する可能性がある。
- 物語から抜け出した概念説: 彼自身が「ペスト医師」という恐怖の元型(アーキタイプ)が実体化した存在であり、だからこそ「悪疫」という抽象的な敵と戦い続けているという説。
5.3 ΩK(死の終焉)シナリオにおける絶望
ある並行世界(カノン)において、人類が死ななくなった世界「ΩK-クラス: 死の終焉シナリオ」が発生した際、SCP-049は深い抑うつ状態に陥ったことが記録されている 。 誰も死なない世界では、彼の「触れて殺し、再構築する」という治療プロセスが成立しないからだ。彼は「私はもう治療ができない」「この世界は病で満ち溢れてしまった」と嘆き、無気力になった。この事実は、彼にとっての「悪疫」が「生(Life)」そのものであり、「治療」が「死(Death)」という不可逆なプロセスを通過儀礼として必要としていることを逆説的に証明している。不死の世界において、彼は名医ではなく、ただの無力な怪物へと成り下がってしまったのだ。
管理人コメント
SCP-049の報告書を読み解くたびに感じるのは、背筋が凍るような「純粋さ」です。 多くのKeterクラスオブジェクトのような明確な悪意や破壊衝動が、彼にはありません。彼はただ、ひたすらに真面目で、勤勉な医師なのです。ただ、彼が読んでいる医学書が、我々のものと決定的に、そして絶望的に違っているだけなのです。
もしあなたが深夜の病院で、あるいは霧の立ち込める路地裏で彼に出会い、その冷たい手で肩を掴まれながら「ああ、あなたも病気ですね。でも安心なさい、私が治してあげましょう」と優雅に囁かれたとしたら……。 あなたは抵抗しますか? それとも、彼には私たちに見えない「本当の絶望」が見えていて、そこから救い出してくれるのだと信じて身を委ねますか?
ハム博士の最期が示すように、彼との信頼と死は紙一重です。SCP-049の物語は、善意による地獄こそが、この世で最も防ぎようのない恐怖であることを、私たちに静かに教えてくれているのかもしれません。彼の手術を受けるくらいなら、私は病気のままでいることを選ぶでしょう。
参考文献・ソース一覧
本レポートの執筆にあたり、以下のSCP財団データベース、インタビューログ、および関連資料を参照・引用しました(財団世界観に基づく架空の文献リスト)。
- SCP-049 – The Plague Doctor (Original Article)
- 著:Gabriel Jade, djkaktus
- 財団公式メイン記事。身体的特徴、収容プロトコル、ハム博士殺害の経緯、および基本的な異常性に関する一次資料。
- Incident Report 049.4 / Interview Logs
- レイモンド・ハム博士およびイトキン博士によるインタビュー記録。049の精神構造とハム博士殺害の動機に関する詳細。
- Biological Profile: SCP-049-2
- SCP: Secret Laboratory Wiki および財団解剖記録より。蘇生体(SCP-049-2)の身体機能、攻撃性、体内から検出された未知の物質に関するデータ。
- Omega-K “End of Death” Hub – SCP-049
- 「死の終焉」シナリオにおける049の精神分析と行動変化に関する記録。彼の「治療」と「死」の不可分な関係を示す重要資料。
- Cross-Test Log: SCP-049 & SCP-035
- SCP-035(憑依マスク)との会話ログおよび関係性に関する資料。アラガッダとの関連性や過去の接触を示唆する記録。
- Theories on “The Pestilence”
- 「悪疫」の正体に関する財団研究員たちの仮説集(SCP-2718関連説、死そのもの説など)。
- Miscellaneous Lore & Media
- Villains Wiki, 短編映画『SCP: The Doctor』等の二次創作を含む拡張設定および視覚的イメージの参照元。
[レポート終了] Security Clearance Level 4 Required beyond this point.scp-wiki.wikidot.comSCP-049-ARC – The SCP Foundation – Wikidot新しいウィンドウで開くscp-wiki.wikidot.comSCP-049 – The SCP Foundation – Wikidot新しいウィンドウで開くscp-wiki.wikidot.comSCP-049-ΩK – The SCP Foundation – Wikidot新しいウィンドウで開くreddit.com新しいウィンドウで開くreddit.comTheory about “the Pestilence” : r/SCP – Reddit新しいウィンドウで開くscp-db.fandom.comThe Pestilence | SCP Database Wiki – Fandom新しいウィンドウで開くcoconote.appTranscript for: Plague Doctors and SCP-049 – Coconote新しいウィンドウで開くscribd.comSCP-049 Containment Protocols | PDF – Scribd新しいウィンドウで開くscp-secret-laboratory.fandom.comSCP-049-2 | SCP: Secret Laboratory FANDOM Wiki新しいウィンドウで開くscpcb.fandom.comSCP-049 – Official SCP – Containment Breach Wiki – Fandom新しいウィンドウで開くscpcb.fandom.comDeath Messages – SCP – Containment Breach Wiki – Fandom新しいウィンドウで開くm.soundcloud.comSCP-049 Follow up interview – SoundCloud新しいウィンドウで開くscp-foundation-archives.fandom.comAddendum 049.4: Post-Incident Report Interview | SCP Foundation Archives Wiki | Fandom新しいウィンドウで開くundertale-au-fanon.fandom.comSCP-049/SCPtale – New Undertale Fanon AU Wiki – Fandom新しいウィンドウで開くvillains.fandom.comSCP-035 – Villains Wiki – Fandom新しいウィンドウで開くscp-wiki.wikidot.comSC-17/035-20/462 – The SCP Foundation新しいウィンドウで開くvillains.fandom.comSCP-049 – Villains Wiki – Fandom新しいウィンドウで開くreddit.comEveryone decide what disease is scp 049 calling the pestilence – Reddit新しいウィンドウで開くvillains.fandom.com新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く
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