序文:境界のない商業空間への招待
現代社会において、巨大な商業施設は「日常」の象徴です。私たちは週末になれば車を走らせ、空調の効いた広大な箱の中で、生活に必要な、あるいは必要だと思い込まされている物資を調達します。スウェーデン発祥の家具量販店、IKEA。その青と黄色の箱は、洗練された北欧デザインと手頃な価格、そしてミートボールの香りによって、世界中の家庭に浸透しています。
しかし、もしその「日常」に出口がなかったら? 順路を示す矢印が永遠にループし、モデルルームの迷路が地平線の彼方まで続いていたら?
本レポートは、SCP財団が管理するオブジェクトの中でも特に著名であり、かつ現代人の深層心理に潜む「消費社会への閉塞感」を具現化した空間異常、SCP-3008に関する包括的な調査報告書です。本稿では、財団の機密ファイル、回収された遭難者の日記、そしてコミュニティによって拡張された深淵なるロアを統合し、この「無限IKEA」の全貌を解き明かします。
これは単なる怪談や都市伝説の類ではありません。資本主義という名の無限回廊に閉じ込められた、我々人類の「生存シミュレーション」であり、グローバル化された均質空間に対する痛烈な風刺でもあります。これからあなたを、出口のないショールームへと案内します。どうか、はぐれないようにご注意ください。
第1章:出口のないショールーム – 異常性の発現と環境分析

1.1 思考実験:境界の消失
想像してください。あなたは新しいソファを買うために、家族や恋人、あるいは一人で、地元のIKEAを訪れました。巨大な自動ドアを抜け、エスカレーターを上り、ショールームへ足を踏み入れます。順路に従って進み、リビングルームのセット、キッチンのセット、子供部屋のセットを眺めます。 ふと、トイレに行きたくなり、あるいは来た道を戻ろうとして振り返ります。
そこにあるはずの自動ドアはありません。 エスカレーターもありません。 ただ、今まで歩いてきたのと同じ、無限に続く家具の列が、視界の限り広がっているだけです。
あなたは少しパニックになり、走り出します。「出口」の表示を探して。しかし、どれだけ走っても風景は変わりません。天井の蛍光灯、リノリウムの床、そして終わりのない家具。窓はなく、外の音も聞こえません。携帯電話を取り出しても、アンテナは圏外を示しています。
これが、SCP-3008の異常性が発現した瞬間のリアリティです。 SCP-3008は、外観上はごく一般的なIKEAの店舗施設です。しかし、特定の条件――正面玄関から入り、ドアが視界から外れること――を満たすと、対象者は非ユークリッド幾何学的な閉鎖空間、SCP-3008-1へと転移します。
1.2 SCP-3008-1 環境データ:物理法則の崩壊と再構築
内部空間(SCP-3008-1)は、既存の物理法則を無視して拡張されています。財団によるレーザー距離計を用いた測定結果は「測定不能(エラー)」あるいは矛盾するデータを示し、実質的な「無限」であると推定されています。
この空間は、単に広いだけではありません。地球上のあらゆる地理的制約から解放された、独立した「小宇宙」としての性質を持っています。
表1:SCP-3008-1 環境パラメータ詳細分析
| パラメータ | 観測データ | 分析・備考 |
| 総面積 | 推定無限 | 少なくとも10km²以上の探索済み領域が存在するが、外部境界線(外壁)はいまだ観測されていない。 |
| 構造 | 均質空間 | ショールーム、倉庫、カフェテリアなどが不規則かつ反復的に配置されている。高低差は基本的にないが、天井高は場所によって数十メートルに及ぶ場合がある。 |
| 光源・時間 | 人工的昼夜サイクル | 天井の蛍光灯が唯一の光源。実際の店舗の開店・閉店時間に合わせて明滅する。消灯時は完全な暗闇となる。 |
| 気候・空調 | 恒常的快適性 | 気温は常に約20℃〜22℃に保たれている。空調設備の音は聞こえるが、その供給源やダクトの終点は不明。 |
| 通信環境 | 遮断 | GPS、携帯電話、ラジオ波などの外部通信は一切通じない。内部での短距離無線通信は可能だが、距離による減衰が激しい。 |
| 物資供給 | 無限リスポーン | 家具、寝具、衣類、そしてカフェテリアの食料は、夜間に原因不明のプロセスで補充される。在庫が尽きることはない。 |
| 視界 | 良好だが遮蔽多 | 家具の山が視線を遮るが、メイン通路(順路)は直線的に数キロメートル先まで見通せる場合がある。 |
1.3 絶望的なナビゲーションと「変動する迷路」
内部ではコンパスは役に立ちません。磁北が存在しない、あるいは空間自体が磁場を持たないためです。あるのは「ベッド売り場」「キッチン用品」「リビング」といったセクションの識別のみです。 遭難者にとって最大の敵の一つは、方向感覚の喪失です。目印にしたはずの巨大な本棚の列が、翌日には構成を変えているという報告もあります。これは空間自体が生き物のように変動しているのか、あるいは単に人間の認知能力が「無限の均質性」に耐えられず錯覚を起こしているのか、議論が分かれるところです。
生存者たちは、独自のランドマーク(積み上げた机の塔など)を作成したり、天井から吊り下げられた案内板(例:「Lamps & Lighting」)を頼りに地図を作成しようと試みますが、その地図が明日も有効である保証はどこにもありません。
第2章:閉店時間は死の時間 – SCP-3008-2(店員)

2.1 “彼ら”の生物学的特徴と不気味の谷
無限の空間には、秩序を維持する管理者が存在します。それがSCP-3008-2、通称「店員(The Staff)」と呼ばれる人型実体です。 彼らは一見すると人間に見えます。IKEAの制服である黄色のシャツと青いズボンを着用しています。しかし、その姿は「人間」の定義をあざ笑うかのように歪んでいます。
- 顔の欠落: 最大の特徴は、目、鼻、耳、口が存在しないことです。のっぺらぼうのような滑らかな皮膚が頭部を覆っています。稀に、口だけが存在する個体や、顔のパーツがデタラメな位置に配置された個体の目撃報告もありますが、基本的には「無貌」です。
- 身体的プロポーションの異常: 彼らの体格には統一性がありません。ある個体は身長2メートルを超え、腕が膝まで伸びているかと思えば、別の個体は極端に手足が短く、胴体だけが肥大化しています。まるで、人体の構造を理解していない子供が描いた絵が、そのまま三次元化したような姿です。
- 解剖学的知見: 財団が確保した遺体の解剖結果によると、彼らには骨格が存在しません。皮膚の下は高密度の筋肉組織と、正体不明の繊維質で満たされており、内臓や循環器系も見当たりません。これは彼らが生物学的プロセス(食事や呼吸)を必要とせず、ただ「店員として振る舞う」ためだけに存在する自律人形であることを示唆しています。
- 植物由来説: 一部の研究者(およびファンコミュニティ)の間では、彼らの皮膚の質感や内部構造が植物の根や茎に酷似していることから、IKEA内部の人工照明を光合成してエネルギーを得ているのではないかという仮説も提唱されています。
2.2 昼と夜の行動サイクル:受動的奉仕と能動的排除
SCP-3008における生存のカギは、照明のサイクルを理解することです。この空間は、光によって支配されています。
- 昼(開店時間): 天井の照明が点灯している間、店員たちは驚くほど無害です。彼らは通路をあてもなく徘徊し、乱れた商品を直すようなパントマイムを行ったり、虚空に向かって挨拶をしたりします。遭難者が近づいても基本的には無視します。ただし、こちらから攻撃を加えたり、過度な妨害を行ったりした場合は、即座に敵対モードに移行し、驚異的な怪力で反撃してきます。
- 夜(閉店時間): 照明が消え、広大な店舗が完全な暗闇に包まれると、彼らの行動原理は「接客」から「排除」へと劇的に変化します。彼らは視界(彼らに目はありませんが、何らかの感覚器官で人間を感知します)に入る全ての「非店員(=人間)」を標的とし、執拗に追跡・攻撃します。
2.3 丁寧すぎる殺意の恐怖
SCP-3008-2の恐怖を決定づけるのは、その襲撃時の挙動です。彼らはゾンビのように唸り声を上げたり、猛獣のように咆哮したりはしません。顔のない頭部から、あるいは身体のどこかから、合成音声のような、あるいは押し殺したような声で、極めて事務的かつ丁寧にこう告げるのです。
「恐れ入りますが、当店は閉店いたしました」 「お客様、建物からの退去をお願いいたします」 「出口へお進みください」
彼らは「退去」を求めてきますが、出口はどこにもありません。彼らにとっての「退去」とは、客(侵入者)を物理的に破壊し、排除することを意味します。その丁寧な口調と、暴力的な物理攻撃(巨大な手による殴打、首の圧迫、四肢の引き裂き)のギャップこそが、SCP-3008-2の真骨頂です。
2.4 「死体」の処理
夜が明け、照明が再び点灯すると、生き残った店員たちは即座に攻撃を停止し、再び無害な巡回モードに戻ります。しかし、夜間に破壊された店員の「死体」や、殺害された人間の遺体はどうなるのでしょうか? 生存者の証言によると、店員たちは昼間、仲間の死体や人間の遺体を見つけると、それを担ぎ上げ、「返品・交換カウンター」や「バックヤード」と思われるエリアへ運んでいく姿が目撃されています。これがリサイクルの一環なのか、あるいは新たな店員の材料となるのかは不明ですが、この行動が「彼らは店の一部であり、循環している」という不気味な事実を強調しています。
第3章:家具の砦とミートボール – 遭難者たちの生態系

3.1 異常空間における文明の発生
SCP-3008の記事における最大の魅力、それは**「極限状態における社会形成」**の描写にあります。 初期の遭難者は、混乱の中で単独で逃げ惑い、夜の闇に消えていきました。しかし、生き残った人々はやがて気づきます。ここには生存に必要なものがすべて揃っていることに。
- 住居: 無限にあるベッド、ソファ、カーペット。
- 建材: タンス、机、本棚などの家具。これらは防壁を作るのに最適です。
- 食料: カフェテリアに無限に補充されるミートボールやパン。
- 道具: 家具組み立て用の工具、キッチン用品、ランプ。
彼らは展示家具を解体・再構築し、広大な店内に**「集落(Settlements)」**を築き上げました。これは、人類が狩猟採集社会から定住社会へと移行したプロセスの、皮肉な再現でもあります。文明から切り離された彼らは、IKEAの製品カタログにあるものだけで、原始的かつ暴力的な、しかし驚くほど機能的な独自の社会システムを構築しているのです。
3.2 確認されている主要な集落と部族
財団のドローン偵察や回収された日記、および多元宇宙的に接続された情報の断片から、いくつかの主要な「都市国家」や「部族」の存在が確認されています。各集落は、天井から吊り下げられた案内板の名前を冠することが通例となっています。
表2:SCP-3008-1内 既知の集落・部族リスト
| 集落名 | 英語名 | 特徴と機能 | 人口規模 | 政治体制・文化 |
| 交換所 | Exchange | 天井の「返品・交換カウンター(Exchange and Returns)」の看板下に位置する。家具を積み上げた強固な城壁を持つ。灯りを確保しており、比較的安定した「首都」的機能を持つ。 | 大(50名以上) | 民主的。生存者同士の協力体制が確立されており、日記の著者が滞在した場所でもある。 |
| 在庫 | Storage | 巨大な倉庫棚エリアを利用した集落。垂直方向に発展しており、高所を利用して店員の攻撃を防ぐ。物資の備蓄基地としての側面も持つ。 | 中 | 防衛重視。高所からの監視により、周辺の安全を確保している。 |
| レジ | Checkouts | かつて存在した集落。「店員」の大規模な襲撃により壊滅したとされる(日記記述より)。防御力が低かった、あるいは人口過多で標的になりやすかったと推測される。 | 壊滅 | 悲劇の教訓として語り継がれている。 |
| マルジパン | Marsipan | [拡張ロア] 伝説的な巨大都市。複数のカフェテリアを擁し、建物が天井まで届くほど発展しているとされる。捕獲した店員を飼育している、あるいは農業を試みているという噂がある。 | 特大(推定) | 交易の中心地。豊かな資源を持つが、外部に対して閉鎖的あるいは支配的である可能性も。 |
| フェイカ | Fejka | [拡張ロア] 造花・観葉植物売り場を拠点とする部族。植物に擬態する迷彩技術を持ち、ジャングルのような環境を構築している。「Fejka」はIKEAの造花シリーズ名に由来。 | 小〜中 | 独自色が強い。薬草(と称する何か)や食料を他部族と交易する。移動には店員の死体で作ったカートを使うとも。 |
| カッラックス | Kallax | [拡張ロア] シェルフユニット「Kallax」周辺を縄張りとする好戦的な部族。古参の生存者が多く、新入りを拒絶する傾向がある。身体に傷跡(スカリフィケーション)やペイントを施す文化を持つ。 | 中 | 排他的・カルト的。店員を倒した数を誇る戦闘民族的な価値観を持つ。 |
| ピロニアン | Pillonians | [拡張ロア] 大規模な「枕の砦(Pillow Fort)」を構築して生活する集落。防御力は低いが、静音性に優れる。 | 小 | 平和的だが脆弱。他集落との交易に依存している。 |
3.3 食料と経済システム
生存者たちの生命線となるのは、店内に点在するカフェテリアです。ここでは、調理スタッフがいないにも関わらず、朝になるとスウェーデン・ミートボール、マッシュポテト、ホットドッグ、リンゴンベリージュース、シナモンロールなどが補充されます。 しかし、補充される場所はランダムな場合もあり、食料確保は常に命がけのスカベンジング(探索活動)を伴います。
集落間では物々交換による経済圏も形成されています。
- 通貨: 乾電池、六角レンチ、未使用のネジ、特定の人気家具パーツ。
- 交易品: 余剰食料、医薬品(救急箱から回収)、武器(ベッドのフレームを加工した槍など)。
文明社会から隔絶された彼らは、IKEAの製品カタログにあるものだけで、原始的ながらも複雑な社会を再構築しています。そこには協力もあれば、資源を巡る争いもあり、時には略奪も発生します。彼らにとって、元の世界の「国籍」や「職業」は無意味であり、「いかにして夜を生き延びるか」という一点において新たなヒエラルキーが形成されているのです。
第4章:ある男の日記 – 脱出への執念と最期

4.1 回収された記録(Log 3008-1)
財団がSCP-3008の研究において最も重要視している資料の一つが、ある遭難者が残した日記です。この日記は、楽観から絶望、適応、そして悲劇的な最期までのプロセスを克明に記録しており、SCP-3008の内部事情を知るための「ロゼッタストーン」となっています。
第1段階:否定と混乱(Day 1 – Day 2)
「ただの迷子だと思った。冗談だろ? IKEAで遭難なんて。」 「2日経った。誰にも会わない。出口の看板が見当たらない。どこまで歩いても、同じ本棚、同じソファ、同じキッチンセットが続いている。」
男は最初、自分が悪質なドッキリ番組か何かに巻き込まれたと考えます。しかし、携帯のバッテリーが切れ、数日歩き続けても壁にたどり着かない現実に直面し、次第に精神の均衡を崩していきます。彼はこの時期、「あり得ないほど硬くて尖ったテーブルのセクション」などを通過し、現実感の喪失に苦しみます。
第2段階:遭遇と適応(Day 6 – Day 14)
「あれを見た。店員のような服を着ているが、顔がない。夜になると襲ってくる。」 「他の人間を見つけた! 『交換所(Exchange)』という町だ。家具で作った城だ。松明やランプで明るく照らされている。世界で一番美しい光景だと思った。」
彼は6日目の夜、初めてSCP-3008-2に襲撃されます。必死に逃げ惑う中で、生存者たちの集落『交換所』に救われます。 集落での生活描写は、ある種の落ち着きを見せます。彼らは日中に食料調達班を出し、夜は交代で壁を守ります。男は「ジャガー(Jenga)」のように積み上げられた家具の隙間で眠り、ミートボールを食べ、仲間と会話します。「外の世界の記憶が薄れていく」「ここの生活も悪くない」といった記述からは、極限状態における適応、あるいは正常性バイアスがうかがえます。
第3段階:崩壊と希望(Day 15 – Last Day)
日記の後半、彼らの安住の地にも危機が訪れます。SCP-3008-2の襲撃が激化し、壁が破られる夜が増えます。また、近隣の集落「レジ(Checkouts)」が全滅したという情報が入り、集落内に不安が広がります。
そんな中、彼らは「出口を見た」という噂、あるいは「出口」と思われる現象を目撃します。男と数人の仲間は、崩壊しつつある『交換所』を離れ、一縷の望みをかけて過酷な旅に出ることを決意します。
「出口だ。間違いなくあれは出口だ。ガラスの向こうに駐車場が見える。」
日記の最後のページは、走り書きで終わっています。彼らが必死で出口へ向かう様子、背後から迫る大量の店員たちの足音、そして仲間が一人また一人と倒れていく悲鳴が、文字の乱れから伝わってきます。
4.2 出口の真実と、あまりにも悲劇的なラスト
この日記が財団の手元にあるということは、彼が脱出に成功したことを意味するのでしょうか? 答えは、**「半分イエスで、半分ノー」**です。
財団のセキュリティ記録によると、ある日の深夜、SCP-3008の封鎖された正面玄関から、一人の男が転がり出てきました。 彼は背後から追ってきたSCP-3008-2に胴体を捕捉され、そのまま引きちぎられるようにして絶命しました。あるいは、脱出した瞬間に確保されたものの、既に致命傷を負っていたとも言われています。 追跡してきた店員は、財団の機動部隊によって即座に無力化されました。
彼の遺体と共に回収されたのが、この日記でした。 この事例が示す事実は残酷です。 「出口は存在する。しかし、その位置は固定されておらず、移動している可能性がある」 そして、出口にたどり着いたとしても、背後には常に「閉店時間」を告げる死神が迫っており、生還できる保証はどこにもないのです。彼の日記は、我々に貴重な情報をもたらしましたが、その対価は彼の命でした。
第5章:消費社会の煉獄 – 考察とメタファー

5.1 なぜ「IKEA」なのか? ― 消費の無限回廊
SCP-3008がこれほどまでに人々の心を掴む(そして恐怖させる)のはなぜでしょうか。単に「広い空間に怪物がいる」からではありません。それは、IKEAという場所が持つ**「均質化された消費空間」**の象徴性を、極限まで誇張しているからです。
世界中のどこへ行っても、IKEAの内装は同じです。順路に従って歩かされ、モデルルームという「理想の生活の虚像」を見せられ、最終的に倉庫で画一的な商品をピックアップする。このプロセスは非常に効率的ですが、同時に個人の主体性を奪う側面もあります。 SCP-3008は、このプロセスを無限ループさせることで、**「個性と時間の喪失」**を描いています。そこは現代資本主義の煉獄(プルガトリウム)であり、死ぬまで買い物を続けること、あるいは商品の一部(店員や在庫)になることを強いられる場所なのです。
「店員」たちが繰り返す「店は閉店しました」という言葉は、消費活動が終わることのない現代社会において、唯一の「安息(=死)」を告げる皮肉な福音のようにも聞こえます。
5.2 「The Backrooms」との接続性と相違点
近年、ネットミームとして爆発的に普及した「The Backrooms(バックルーム)」とSCP-3008は、**「リミナルスペース(境界的空間)」**という概念で強く結びついています。 誰もいないはずの廊下、終わりのないオフィス、そして無限の店舗。これらは、人間が不在の人工物が放つ特有の不気味さ(ケノプシア)を共有しています。
- 類似点: 無限の空間、脱出困難、ノスタルジーと恐怖の混在、物理法則の欠落。
- 相違点: The Backroomsが「全宇宙の裏側にある廃棄領域」という抽象的な概念であるのに対し、SCP-3008は「IKEA」という具体的なブランドと物質性を伴っています。また、SCP-3008には明確な「社会(集落)」が存在し、サバイバル要素が強い点も異なります。
一部のファン考察では、「SCP-3008はBackroomsの数あるレベルの一つ(Level 3008など)ではないか?」とも議論されていますが、SCP財団の世界観では独立した異常存在として扱われています。しかし、両者が「見知らぬ日常への恐怖」という現代特有の感情の受け皿となっていることは間違いありません。
5.3 多元宇宙のハブとしての可能性
回収された日記や、他の生存者の証言には興味深い共通点があります。 「自由の女神を見たことがない」「国際宇宙ステーション? 何それ?」 彼らの中には、我々の知る歴史とは微妙に異なる世界から来た人々が含まれています。 このことから、SCP-3008は単なる異次元空間ではなく、**「あらゆる並行世界のIKEAが接続されたハブ(結節点)」**であるという説が有力視されています。 もしそうなら、この空間は無限に広がるだけでなく、無限の可能性を持つ「異世界交流の場」でもあります。ただし、その代償として「元の世界には二度と戻れない(出口がどの世界に繋がっているか分からない)」という、より絶望的なリスクを孕んでいるのです。
管理人コメント
執筆者:SCP財団 日本支部 シニア研究員(兼オカルトブロガー)
正直なところ、私はIKEAが好きです。休日に50円のソフトクリームを食べ、安くてデザインの良い家具を見て回るのはささやかな楽しみです。しかし、この報告書をまとめてからというもの、順路の矢印を見るたびに背筋が凍る思いがします。 特に、ショートカット用の扉を抜けるとき。「この扉の向こうが、ちゃんと元の売り場に繋がっている保証はあるのか?」と、一瞬足を止めてしまうのです。
もし私がSCP-3008に迷い込んだらどうするか? 間違いなく「ベッド売り場」を目指します。そしてできるだけ頑丈なロフトベッドの上段を確保し、大量のサメのぬいぐるみ(ブローハイ)でバリケードを築くでしょう。戦うのは苦手ですが、枕を使った砦作りなら自信がありますからね。 そして、もし運良く「交換所」のような集落にたどり着けたら、私はそこで記録係になりたいと思います。この無限の空間で起きる出来事を、すべて書き残すために。
皆さんも、家具店に行く際はご注意を。そして、もし「出口」が見つからなくなったら……近くのスタッフに声をかける前に、そのスタッフに「顔」があるか、よく確認することをお勧めします。 「お客様、当店は閉店いたしました」と言われる前に。
参考文献・ソース一覧
本レポートの作成にあたり、以下のSCP財団データベース、関連資料、およびコミュニティの知見を参照しました。
- SCP-3008 – A Perfectly Normal, Regular Old IKEA (by Mortos)
- 本家SCP財団のオリジナル報告書。基本的な異常性、環境データ、店員の定義など。
- SCP-3008-1 (The Journal)
- 回収された日記の転写記録。遭難者の心理描写、集落「Exchange」の描写、脱出の経緯など。
- Extended Lore & Community Discussions
- RedditやSCP Wikiのディスカッションに基づく、「Marsipan」「Fejka」「Kallax」等の集落設定やファン考察。
- Biological Theories on SCP-3008-2
- 「店員」の解剖学的特徴、植物起源説、行動パターンの分析。
- Video Game Adaptations
- Roblox版『SCP-3008』およびインディーゲーム『The Store is Closed』。ゲーム的な生存戦略や「Death Messages」などの演出要素。
- Animated Adaptations
- Lord Bungによるアニメーションシリーズ『Confinement』Episode 6 (The Infinite IKEA)。視覚的なイメージの補強として参照。
- Cultural Analysis
- 「The Backrooms」やリミナルスペースとの関連性、消費社会へのメタファー、多元宇宙説に関する考察。
さあ、閉店時間です。速やかにブラウザを閉じ、現実世界へお戻りください。reddit.comSCP 3008 – Description : r/SCP – Reddit新しいウィンドウで開くscp-wiki.wikidot.comSCP-3008 – The SCP Foundation – Wikidot新しいウィンドウで開くscp-sandbox-3.wikidot.comSCP-3008 Journal 1 – SCP Sandbox III – Wikidot新しいウィンドウで開くscp-3008.fandom.comUnknown Journal Writer – SCP3008 Wiki – Fandom新しいウィンドウで開くreddit.comSCP-3008 “IKEA” Theories – Reddit新しいウィンドウで開くreddit.comA SCP-3008-2 instance. (Rough and unfinished drawing, i got bored of doing it :p) – Reddit新しいウィンドウで開くantagonists.fandom.comSCP-3008-2 | Antagonists Wiki – Fandom新しいウィンドウで開くreddit.comUpdated SCP-3008-2 anatomy (read description) – Reddit新しいウィンドウで開くyoutube.comSCP-3008-2 staff sounds (High quality) SCP-3008 Lone Survivor – YouTube新しいウィンドウで開くscpexplained.wikidot.comSCP-3008新しいウィンドウで開くreddit.comMap of the Region (SCP-3008 Comic) – Reddit新しいウィンドウで開くreddit.comWhat are all the Factions in Scp 3008 and their Status – Reddit新しいウィンドウで開くgamesbeat.comSCP-3008 is survival horror in an unending Ikea purgatory – GamesBeat新しいウィンドウで開くen.wikipedia.orgSCP Foundation – Wikipedia新しいウィンドウで開くyoutube.comAre The Backrooms and SCP-3008 the same?! – YouTube新しいウィンドウで開くreddit.comDo you guys think SCP-3008 should be a backrooms level? – Reddit新しいウィンドウで開くreddit.comIs SCP 3008 based off of the back rooms? – Reddit新しいウィンドウで開くsteamcommunity.comSCP 3008 The not so infinite IKEA :: Discussions – Steam Community新しいウィンドウで開くreddit.comThere is something about 3008 “The infinite Ikea” that really bothers me, and it’s a huge logical flaw : r/SCP – Reddit新しいウィンドウで開くreddit.comWhat are some of your Headcanons involving SCP-3008 – Reddit新しいウィンドウで開くyoutube.comThe Story of SCP-3008 | Infinite Ikea Explained – YouTube新しいウィンドウで開くyoutube.comSCP 3008 – The Infinite IKEA Updated! – YouTube新しいウィンドウで開くscp3008-roblox.fandom.comSCP-3008 ROBLOX Wiki Roblox 3008 Wiki – Fandom新しいウィンドウで開く3008fanon.fandom.com3008_fanon Wiki | Fandom新しいウィンドウで開くscp3008-roblox.fandom.comDeath Messages | Roblox 3008 Wiki – Fandom新しいウィンドウで開くconfinement.fandom.comList of Episodes – Confinement: The SCP Animation Series Wiki – Fandom新しいウィンドウで開くreddit.comConfinement Ep6: The Infinite IKEA (part 1 of 2) : r/SCP – Reddit新しいウィンドウで開くreddit.comSCP-3008 Infinite IKEA concept art for Confinement Episode 6 – Reddit新しいウィンドウで開くreddit.comReal Talk: Why is Everyone Obsessed with SCP 3008? (The Ikea-Like) – Reddit新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く新しいウィンドウで開く
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